ほうしゃせんはいえん

放射線肺炎

最終更新日:
2017年04月25日
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2017/04/25
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概要

放射線肺炎とは、放射線を原因として発症する肺障害のことを指します。放射線といっても胸部単純レントゲン写真やCT(エックス線を使って身体の断面を撮影する検査)などと関連するものではなく、肺がん乳がんなど、胸にできたがん治療の一環で使用される放射線療法に関連して発症します。

一般的には放射線治療が行われてから、1~6か月ほどの間を経てから咳や息切れなどの症状で発症します。軽症の場合には無治療でも自然治癒をすることが期待できますが、症状が重篤化すると永続的な肺障害を残してしまうこともあります。特に、放射線治療の前からもともと肺の機能が落ちているような方の場合、放射線肺炎が重症化するリスクが高いです。

放射線療法に関連して発症する病気であるため、ある程度発症は予測できるものでもあります。放射線治療を受けた際には、自覚症状の変化に注意することが大切であり、疑わしい症状がある際には担当医と相談することが重要です。
 

原因

肺がん乳がん食道がんなど胸にできたがんに対して、放射線療法が行われることがあります。このとき、がんが存在する部位を含むように放射線が当てられますが、がん組織以外にも周囲に存在する正常組織に対して同時に放射線が当たってしまいます。放射線が当たる領域に肺が存在すると、正常な肺が放射線による障害を受けることになり、その結果として放射線肺炎が発症します。

放射線肺炎を引き起こすかどうかは、放射線がどの程度の量であるかも大きく影響します。たとえば同じく放射線を利用するレントゲン写真でも肺に放射線が当たりますが、レントゲン写真で使用される程度の少量の放射線では放射線肺炎を発症することはないと考えられます。しかし、放射線療法では多くの放射線を照射するため、組織障害が生じやすいといえます。

また、放射線肺炎は一部の抗がん剤と併用すると発症する可能性が高まるといわれています。また、基礎疾患として慢性閉塞性肺疾患(COPD)や間質性肺炎などをもともと抱えている方が放射線療法を受けると、放射線肺炎を発症するリスクが高いとされています。
 

症状

放射線肺炎の症状は、放射線療法が開始されてから1~6か月ほどの期間を経て出現します。肺に障害を受けているため、呼吸器に関連した症状が中心となります。具体的には、咳や胸の痛み、息苦しさや運動時の疲労感などです。また、発熱がみられることもあります。

放射線肺炎の症状は、慢性的な経過で出現することが多いですが、時に急激に呼吸症状が増悪することもあります。放射線肺炎は、基本的には時間経過と共に症状の改善が期待できますが、呼吸器症状が重症化して積極的な治療介入を要することもあります。また、時には肺炎が広範囲に拡がってしまい、命にかかわることもあります。

そのため、症状の変化には注意することが大切です。
 

検査・診断

放射線肺炎では、胸部単純レントゲン写真やCTといった画像検査を行います。基本的には放射線が照射された領域に一致して放射線肺炎が発症するため、画像検査を通してこのような病変の拡がり方を確認します。また、呼吸機能検査を行い、どの程度呼吸機能が低下しているかということも評価します。

放射線肺炎を診断するためには、ほかの疾患(感染症やがんの転移など)との鑑別を行うことが求められることもあるため、血液検査や痰の検査なども併用することがあります。たとえば、感染症であれば炎症反応の確認を血液検査で行ったり、喀痰を用いて細菌がいないかどうかを確認したりします。

また、がんの検査としては疑われるがんに応じて、画像検査や組織を評価する病理検査なども検討されことになります。
 

治療

放射線肺炎は、時間経過と共に無治療でも症状の改善を期待できることがあります。

たとえば、

  • 疲れを感じた際には休息を取る
  • 生活の活動度を落として野外活動をできるだけ避ける
  • インフルエンザなどの感染症にかからないように注意する
  • インフルエンザワクチンを接種する などに心がけて経過をみます。

また、気管支拡張薬や鎮咳薬などの対症療法も検討されます。呼吸不全症状が強い場合には、酸素を使用することもあります。症状の進行が懸念される場合には、ステロイドによる炎症の沈静化も検討されます。ステロイドの使用によって炎症を抑えた後、徐々にステロイドの量を減量しますが、その過程において症状の再燃(治まっていた病状が再び悪化すること)をみることもあるため注意深く減量します。

放射線肺炎は、発症までの経過がある程度予測可能な部分もあります。

放射線治療後に定期的に診察を受けることは、病気の早期発見のためにも重要です。また、自覚症状の変化がみられた場合には、ただの疲れなどと過信することなく、担当医に報告することも大切であるといえます。
 

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